和魚
ほわほわ*
和魚について
和魚さんは絵画やイラストを中心に作品を制作されていますね。コンセプトやモチーフの選び方について教えていただけますか?
和 魚 優しさをテーマに制作していて、優しい絵を描くというよりも誰かが優しくなれるような絵を描いています。モチーフは日常の瞬間を切り取っていけたらなと思っています。例えば、自分が履き潰したスニーカーとか、妹が大事にしているぬいぐるみとか、たまにフッっと差し込む光とか。そういった日常の瞬間がシュッと切り取られて、それを見ていただいた方になんとなく伝わるといいなと思っているんです。
色彩の淡い感じとあいまって、日常の取り止めのない瞬間がじわっと広がる温かみが感じられて良いなと思います。
和 魚 すごく嬉しいです〜!
自分の身近なところをから着想を得ていることが多いですか?
和 魚 そうですね、自分の部屋や友達と一緒にいる間のことやもらいものからインスピレーションを受けていることが多くて、そういう人とのコミュニケーションから生まれるものが題材になることが多いですね。
食べ物の絵がとても美味しそうです!お菓子の絵を描くのもお好きですか?
和 魚 めちゃくちゃ大好きです!というか、食べるのが大好きで、美味しいものを食べている時って本当に幸せになるんですよね。母がたまにおいしいケーキを買ってくれるんですけれど、ケーキの写真を撮って、食べて、うわ!おいしい〜!という気持ちを描き起こすんです。
色使いも、温かみや優しさをイメージされていると思うんですけれど、色を選ぶ時のこだわりはありますか?
和 魚 結構じんわりした、ちょっとずつ変わっていくものが好きなので、仲が良い色を選んでいるかもしれないですね。例えば、ピンクに紫を入れたりとか。でも、近い色を使いつつ、いろんな色を混ぜつつ、という感じなのでどうなんでしょう(笑)でも、優しいようなあったかい色を意識しています。
絵の具を使って描かれているので、絵の具のじんわりとしたにじみが作品とマッチしているのが良いなと思います!
和 魚 ありがとうございます!確かに、にじみをよく使うかもしれないですね。
使われる画材は水彩でしょうか?
和 魚 基本的には日本画の画材を使っています。日本画って1回塗ると色が消えないというか、にじまないので、”にじまない水彩”だと思って描いていますね。
日本画の画材を使うというのもこだわりですか?
和 魚 そうですね、日本画じゃないと今やっている制作はできないな、とは思っています。きらきら感があったり、汚くなるはずの色が綺麗に見えたりするので、日本画の画材を使うのはこだわりポイントです。
きらきらというと、日本画は金箔とか金属粉も使いますよね。
和 魚 使います!なかなか使えないんですけれど、使うときはテンションが上がります〜!金箔とかもそうなんですけれど、日本画の画材って石が砕かれたものが使われているので、素材自体が美しいんです。なんて品があるんだ!といつも思っています。
自然の素材を使っているところが日本画の良いところですよね!
和 魚 そうなんですよ〜自然のものを使っているからこそ馴染み深いというか、優しさにもつながるような、そんな気がしています。
ほわほわ*について
江上さんはほわほわした優しいあたたかい絵を描かれていますね。モチーフやコンセプトについて教えていただけますか?
ほわほわ* 思いついたひとつのモチーフをシリーズ化していることが多いですね。きのこみたいな家を描いた時は、ひとつの街並みを家だけで描いてみたり、屋根だけで描いてみたりして発想が広がったんです。一枚の絵から広がっていくような感じですね。
シリーズものとして区切って描かれているんですね。風景画が多いなという印象を受けたのですが、風景を描くのがお好きですか?
ほわほわ* 好きですね。コルマールという街を見た時に、こういうの描いてみたいなと思ったのが風景画を描くきっかけかなと思います。
光の描かれ方が綺麗だなと思っていて、鮮やかで強い光とやわらかい光の描写がすごく素敵だなと思います。
ほわほわ* ありがとうございます!すごく嬉しいです〜
建物のデザインとか、空に浮かんでいるものの色合いが鮮やかで楽しい世界観ですね!使用されている画材は何ですか?
ほわほわ* 画材は水彩を使っています。でも普段は油彩もやっていたりします。
今回、BORDER!で出展される作品もシリーズものでしょうか?
ほわほわ* そうですね、ポストカードとか、作品を使ったグッズを作ろうと思っていて、ほわほわとしたやわらかい雰囲気の作品を出展したいなと考えています。
さまざまなグループ展に出展されている印象があります。知り合いや友達と一緒に展示をしているんですか?
ほわほわ* いえいえ!ギャラリーさんの方で組んでもらっているので、知り合いと一緒にというわけではないんです。あとは公募に出したりしています。
公募といえば、ほわほわ*さんは短いスパンでさまざまな公募に出展されていますね。いつ頃から出されていますか?
ほわほわ* 個展をやらせていただいていただいたのが四年前で、それから活動を始めて公募に出展したりしていますね。一年に三回は何かの公募に出す、というのを目標にしているんです。
本当にすごいです...!
和魚 × ほわほわ*
絵の雰囲気としてはお二人とも似ているなと感じたのですが、お互いの印象はどうですか?
和 魚 優しい世界観が可愛くて、すごく好きだな〜と思いました。あと何か共感する...みたいな感じがします。
ほわほわ* ありがとうございます!SNSを拝見して、鉛筆で描かれたものが多いなと感じていています。グループ展に出されていた作品が透明感があって好きだなと思いました。
和 魚 ありがとうございます〜!鉛筆がすごく私の肌とか手に馴染むというか、最近は何をするにも鉛筆がないと生きていけないんです。ふとした時に描きたいって思いますし、それができるのが鉛筆なので、鉛筆で写生とかスケッチはよく描きますね。
いつもかばんにスケッチブックと鉛筆を忍ばせていたりしますか?
和 魚 そうなんです〜ちょっと待ってください...取ってきますね!
ありがとうございます!ほわほわ*さんは鉛筆で描かれたりしますか?
和 魚 スケッチするときはダーマトグラフを使うことが多いです。一気に描きたいので、消したくないなと思っていて(笑)
和 魚 持ってきました!イラスト用の自由帳と写生用のスケッチブックがあって、二冊を絶対に持ち歩いています。あと、鉛筆入れ。これ大好きなんです。
あ〜!くるくるっと巻ける、巻物型のケースですね!
和 魚 周りは筆箱とか普通のペンケースだと思うんですけれど、私はこれを愛用しています。
見せてもらえるとは思っていなかったのでありがとうございます!
和 魚 私は優しさを表現したいなとは思っているんですけれど上手く表現できていなくて、優しい表現にはなっていないと思うんです。そう考えた時に、ほわほわ*さんの絵って本当に優しくて、私はそれがすごく良いなと思っています。色とか筆の使い方が優しくて、見た人が優しくなれる感じがするんです。
ほわほわ*さんは描く時にどういうことを気をつけていますか?
ほわほわ* 何だろう...ほわほわとした世界を描くときに、水を使って色を薄くしたりはしますね。このくらいの色で描く、というのは自分の中で決めているんだと思います。
すごく温かみのある絵で、絵本の挿絵とかに欲しいです。
和 魚 絵本に入ったかのような世界観ですよね。
ほわほわ* 絵本は意識している部分はありますね。絵本作家さんが知り合いにますし、絵本の展示会にも行っています。
和 魚 好きな絵本作家さんはいらっしゃいますか?
ほわほわ* 良いなと思う作家さんは、たなかしんさんという方で可愛い雰囲気の絵本を描かれています。知り合いの作家さんは佐藤文音さんという方で、佐藤文音さんの影響は結構受けているのかなと思いますね。
ほわほわ*さんの作品は一枚にいろんな色が使われているのに調和しているというか、互いの色を邪魔をしていない感じがします。
ほわほわ* 三原色に重点を置いて描いているんです。大学の先輩から、二年前の作品よりも、三原色に重点を置いた今年の作品の方が色使いが上手くなっている、と言われたんですよ。
和 魚 三原色で色が絞られているから、調整が効きやすいんですかね?
ほわほわ* 三原色でどれだけできるんだろうっていうのが面白くて、三原色だけで描いて、色々な描き方を発見することができました。
今回のBORDER!でどんな出会いがあったらいいなと思いますか?
和 魚 私は他大学の方との交流がないので、私とは別の学校に通われている学生さんが通りかかってくれると嬉しいなと思いますね。京都の美大、芸大って結構多いのに、学校同士の交流は少ないので、今回のイベントでは他の学校の学生さんと交流できたら良いなと思います。
他の出展者さんの中でも学生の方がいらっしゃるので、お時間あれば交流を図ってみるのも良いかもしれないですね。
ほわほわ* 私は、ギャラリーに行かない方とか、SNSではつながることのできない人と出会えたら良いなと思います。こういう機会でしか会うことができないと思っているんです。
素敵な出会いがあると良いですね!この機会に、色々な方と交流して欲しいです。今後はどういう活動をしていきたいですか?
和 魚 私は色々なことに手を出すタイプで、絵画とイラストを主に描いているんですけれど、歌とか音楽も好きで、舞台もやっているんです。今はそれぞれのジャンルの中だけで表現していますが、舞台や絵画、音楽といった、違うジャンルのものが一つになるような作品を作っていけたらいいなと思っています。
自分の世界観を色々な媒体でプロデュースしていけると良いですよね!
和 魚 自分が伝えたいことって絵画だけで伝えられることもあるんですけれど、それだけでは伝えられないこともあるというか...。私が伝えたいことに適した媒体で提供したり、ジャンルを複合して伝えたりできるといいなと思います。
ほわほわ* 私はそろそろ個展がやりたいですね。前やったのが四年前なので。
和 魚 個展は自分の成長を感じれる場でもあるし、自分を整理する時間だなと思っていて、それを四年越しにやるというのはすごい大きな成長を実感できるんじゃないかなと思います。
ほわほわ* 個展は奈良でやりたいなと思っています。
なるほど〜。ほわほわ*さんは関西を中心に色々なところで活動されていますね。
ほわほわ* そうですね、人が来るわけではないので、自分から色々なところに行ってみないといけないなと。
和 魚 いろんな人といろんな地域で交流するってすごく良いですよね。土地によって人の性格が全然違うし、自分の作品の反応とか受け取り方も変わってくると思います。
ほわほわ*さんは今後関西から飛び出して、いろんなところに行きたいですか?
ほわほわ* 行きたいですね。東京や名古屋で展示が決まっているんですけれど、少しずつ活動範囲を広げていきたいですね。
フットワークが軽い...!
和 魚 私は東京と名古屋に一回ずつと、展示回数はすごく少ないんですが、自分の地元で展示をしたことがなかったのでそこでやりたいなと思っています。やっぱり、生まれ育った町で展示をしたいなという思いはありますね。
そういえば、和魚さんはデザインの方にも興味がおありで...?
和 魚 バレてましたか(笑)日本画をしていて私に一番足りないのはデザイン力かなと思っているんです。作品を作っていく上で、デザインをするときの思考が足りてないなと感じていて...。これからずっと制作していくことを考えると、デザインを学ばないといけないなと思っています。そういうこともあって、最近フライヤーデザインにも挑戦したんです。
デザインができると自分の宣伝もできますし、スキルアップにもつながりますよね!
和 魚 展示のDMも自分で作れたらいいなと思っています。
ほわほわ* デザインは何かソフトを使われていますか?
和 魚 私は Adobeのソフトを使ってやっています。最初は別のソフトを使っていたんですけれど、色味がしっくりこなくて...でもAdobeのPhotoshopというソフトを使い始めてから全部解決したんです。
ほわほわ* そうなんですね!Photoshopは便利ですよね。
ほわほわ*さんもソフトを使って何か制作されていますか?
ほわほわ* 私はアイビスペイントでファンアートを描いたり、デジタルソフトを使って年賀状やLINEスタンプを作ったりしていますね。LINEスタンプはグッズ化もしたんです。
自分の絵がグッズになるのって良いですよね!
和 魚 すごく良いです!自分の絵が三次元にあるのもそうですけれど、自分の友達とか全く知らない人が買ってくれて、それをお気に入りとして持ってくれたり、飾ってくれているのが言葉にできないぐらい嬉しいです。
ほわほわ* そうですよね!私は、まだオンラインショップとかに出していないグッズがあります。
和 魚 私もまだまだ眠っているグッズたちが結構あります(笑)
作品を見てもらうだけではなくて、グッズになって誰かが大事にしてくれていると、また別の感動がありますよね。
和 魚 愛してもらえているというか、自分の作品を大切にしてもらえていてすごく嬉しいです。
そろそろお時間ですが、今回の対談はいかがでしたか?
和 魚 すごく楽しかったです!自分のことを発信する場が少なくて、普段は絵を描くことに重きを置いていることもあるので、自分が普段どう思っているか分からなかったんですけれど、話すことで自分の考えていることを整理することができました。
ほわほわ* アウトプットする場って良いですよね。展示するときもその場で話すことがなかなかできなかったりしますし、うまく伝えられなかったりするので、今回の対談は良い機会だったなと思います。
ありがとうございます。ではお時間なので終了させていただきます。今日は貴重なお話を聞くことができてとても楽しかったです!お二人ともありがとうございました!
一同 ありがとうございました!
ほわほわ*
ほわほわと優しく柔らかな心で過ごせますように。心を込めて、絵本のような世界観のイラストをお届けします。主に展示活動をしておりまして、初めてイベントに参加します。フラッと見てもらえたら幸いです。よろしくお願いします。
https://egami-a.jimdofree.com- 聞き手
- 小寺 ことみ(BORDER!2021 イベントディレクター)
- 編集
- 大城 咲和(SHAKE ART!ライター)